はじめに

個人開発のベストメソッドを模索したい。それがこの記事の骨子です。「こんな風にやるんだぞ！ぐはは！」というよりも、「こんな風に失敗して、こんな風に変えてみた。完璧ではないけど、少しはマシになったと思う」というテンションで書きました。

ウォーターフォール？アジャイル？そういう手法と同じくらい、「個人開発」にフォーカスしたメソッドを模索する必要があると思う。上記の２つは、あくまでチーム開発を前提にしてると思うから。

とはいえ私は誰なんだ？

私はエンジニア経験もデザイナー経験もない人間です。PdMとしていくつかの会社で、新規事業の立ち上げやグロースフェーズを担当してきました。だから、プロダクト・プロジェクトマネジメントはしてきたけれど。今までエンジニアリングをしたことがありません。

それは結構長い間コンプレックスだったように思う。作りたいものはあるけれど、自分で作れない。でも1年半くらい前にFlutterFlowというノーコードツールにあい、また生成AIの波に後押しされて、少しずつ勉強してきました。

去年は目標の一つであった、自分のアプリをリリースすることもできた。まだまだやらなきゃいけないことはあるけれど、個人開発者として、少しずつ足を踏み出してきたところだと思います。

個人開発において、何が重要なのか

メソッドの話に移る前に、少しだけ前段の話をさせてください。

個人開発という概念を初めて知ったのは、Pieter Levelsだったと思う。一人で70個以上のサービスを立ち上げた、個人開発のパイオニア。

彼のツイートで最も衝撃だったのがこれ。

70個サービスを作り、4つがマネタイズ。つまり、打率は5~10％。それから国籍こだわらず、色々な個人開発者を研究した結果、大体このくらいの打率に収斂することがわかりました。

ここから学んだことの一つ目は、「打席に立つこと」の重要性。 10％＝10回リリースすれば、１つあたる（かもしれない）。下振れする可能性もあるが、20回リリースすれば、当たる可能性はかなり高い。

２つ目の学びは、最も早く上達する道は「イテレーション」（繰り返し）だということ。 1回目よりも、2回目の方がうまくなる。2回目よりも、3回目がうまくなる。

１打席目の凡退と２打席目の改善

FlutterFlowを触り始めて、まずは何かを作ろうと思いました。自分は音楽フェスに行くことが好きなので、フェスのコミュニティアプリを作ろうと思った。結果、作り始めてから、7ヶ月で大体アプリは完成した。早いかどうかは微妙なところですが、とにかく７ヶ月間かかりました。

問題はこの後で、私は７ヶ月かかったアプリをリリースできませんでした。コミュニティサイトを作ろうとした人は共感してくれるかもしれないですが、リリースするのが怖かった。正確にいうと、完成した時点で、次に進むエネルギーが残っていなかった。

できたサービスを見てみると、まだまだ足りないところがあり、細かいバグがあり、デスクトップ版へのアジャストが必要で、競合のサービスで十分に見えて、とてもリリースできるような代物に見えなかった。

そこで、心が折れた。

数ヶ月休んで、少しずつ回復してきたのを感じ、2回目の挑戦を始めました。結果、今回は前回よりも早く、遠くに行くことができました。 前回７ヶ月かかった期間が、着想から開発完了まで１ヶ月半で終わり、とにかくリリースまで辿り着くことができました（マネタイズやマーケティングは全然だけど）。

何を変えたのか？

２回目の打席で考えたことは、「とにかく気力を残しておこう」ということでした。

具体的には、「やらないことを決め、できたことを讃える」ために、Notionベースで「フェーズ管理」と「チケット管理」を整理しなおした。

１：フェーズ管理

「やらないことを決める」ために、フェーズをを４つに分けました。

1.Prototype

これは紙芝居
BackEndは繋がっていなくて、FrontEndだけが作られている
どんなページがあって、どんなUIなのか。それだけにフォーカスして作る
大体１週間で作る（後回しにするページもある）

2. MVP

これは１のPrototypeを組み込んだもの
基本的にはPrototypeベースで裏側を作るが、想定よりも難しいものはここでどんどん切り捨てていく
「必要」「あった方がいいよね」「あってもいいよね」を混同してないか注意しながら、「本当に必要な最小限」を作る
大体２−３週間で作る（できたら、テスト及びリリース作業に移る）

3.Release

リリース作業と並行しながら、MVPで切り捨てた中の「あった方がいいよね」を追加していく
少しだけハードルをあげ、自分がユーザーだったら欲しい機能を作る
GooglePlayStoreは2週間のユーザーテスト期間があるので、その間でできるものを追加する

4.BrushUp

ここはインボックスとして、アイデアや欲しいものを放り込んでおく
MVPやRelease版を作りながら、いいなと思ったアイデアは全部ここに入れる
やらない可能性も高い。

重要なのは、MVP（リリース）までいかに体力・気力を温存して進むか。

→「あった方がいいよね」という機能も、なくてもいいかもしれない。（あとでユーザーが教えてくれる）

→「あってもいいよね」という機能は、大体いらない。

２：チケット管理

「できたことを讃える」ために、Notionのチケット管理を変えました。必要そうな機能・ページ・アイデアをカンバン形式で入れておく。

カンバンのステータスはなんでもいいと思うが、自分はなんとなく

Inbox
NextUp
Progress
Haven't solved
Completed

に分けた。

チケットのプロパティとして、

Phase（↑のやつ）
Difficulty：工数見積（Easy / So-So / Hard / Super Hard）
Time to solve：開発にかかった時間（0.1 / 0.5 / 1 / 2-3 / 4-6 / 7-9 / 10+ ) を入力した

※他にもタイプ（UI / DB / Action / Setting / Planなど）・Bugフラグも使っていましたが、あんまり重要じゃない気がします。

効果があったTIPSとして、前処理（チケット作成時）と後処理（チケット完了時）があります。

前処理においては、

Phaseを気軽に変える

「あってもいいよね」の機能がMVPフェーズに紛れ込んでることがよくある
それを発見したらノータイムでReleaseかBrushUpフェーズに変える

Difficulty入力で心の準備をする

チケットを作った時点で、どのくらい難しそうか直感で入力する
基本的に過去にやったことのないタスクはHard以上に分類される
SuperHardな予感がするチケットは、ブレークダウンした方がいい（もしくはBrushUpに回す）

後処理においては、

Time to solveで讃える

かかった時間を入力する目的は、讃えるため。
0.1でできたら、天才。7-9Hourかかってたら、よく頑張った。
RPGでいうところの経験値欄だと理解して、すかさずレベルアップする。

GPTとの会話をラップアップしてページに入れる

大体、GPT（AIツールなんでもいい）と二人三脚で開発をすることになる。
仕様を共有したり、うまくいかないところを相談したり、文句を言ったりする。
チケットが完了したら、「このチケットについて、ラップアップして」と頼み、返答をそのままNotionに貼り付ける。
同じようなチケットを別プロジェクトで実装する可能性は高いので、少しずつ資産形成する

この辺が、現状の私のメソッドということになると思います。何よりも、リリースする（打席にたつ）ことが重要だと信じて、「やらないことを決め、できたことを讃える」工夫をしたのが良かったのかなと。

終わり

ここまで読んでくれてありがとうございます。最近、AtomicHabitという本を今更読んでいるのですが、その中でこんな言葉がありました。

Forget about goals , focus on systems instead

私たちのゴールは一人一人違うと思います。お金を得て自由になりたい人、好きなコミュニティに貢献したい人、エンジニアリング勉強したい人、それが個人開発の美しいところだと思う。

でも、私たちのメソッド・システム。またはそれぞれの失敗とちょっとした工夫。そういうものは、共有財産になるのではないか。そう思って記事を書きました。

現状の私のメソッドはこんなところですが、おそらく、１０回目の挑戦の頃には様変わりしてると思います。それもまた良いところかもしれない。

少しでも参考になった方がいると嬉しく思います。シェアしてくれたら歓喜します。でもそれより、これを読んだ人が「私の工夫も共有してみようかな」と思ってくれたらそれが一番嬉しいです。

読んでいただきありがとうございました！以下、他の方のメソッドを少し貼っておきます。

▶︎【catnose】Zennを生んだ個人開発者に聞く、プロダクト開発の美学

▶︎30個以上の個人開発を失敗。そこから自分のサービスで生きていけるようになるまでの話。

▶︎個人開発マネタイズ大全

▶︎Webアプリを作って収益化する、僕の個人開発ルーティン

▶︎僕の個人開発を成功に導いてくれた本たち

▶︎UXリサーチの知見を使う！個人開発者向けプロトタイプストーリー実践ガイド

▶︎Googleグループを使ったAndroidクローズドテスト方法

▶︎頑張らないProductHuntをやってみた

個人開発のベストメソッドを模索したい

コメント

関連記事