はじめに

こんにちは。Jinといいます。

最近、お気に入りのツイートがある。

Yaaaさんの「今日も個人開発やってく」のツイート。

これを見るたび、「あ、自分もやろうかな」と前向きな気持ちになる。ありがたい。

なんだか同じようなものが海外でもあった気がする。そう思って思い出したのが”Build in Public”という概念。

海外の個人開発/ソロプレナー界隈ではよく聞く言葉で、面白くて有用な文化だと思ったので紹介しようと思います。

Build in Publicとは何か？

Xコミュニティの”Build in Public”は、7万人以上が参加するコミュニティです。

ポリシーは

Share what you're working on. Get feedback. Help each other move forward.

ほぼ毎分に近いレベルで投稿されており、

LP作ったからレビューして！
どんなチャネルで集客してる？TikTok?Cold Mail？
5wordであなたのStartUpをPitchしてみて
つながろーぜー
初心者が気をつけるべきことはある？

など、本当にさまざまなコミュニケーションが行われている。興味深い文化だなと思った。

おそらくルーツは、PieterLevel（レジェンドですねぇ）

彼は、2017年にHoodmapsというサービスを開発する時、”Build in Public”の概念を使って開発した。

詳しくは、Level自身のブログを見るのがわかりやすい。

彼は当時、「すべてのプロセスをオープンにした」。つまり、アイデアからローンチまで。Day1〜Day4までの開発期間は、Twitchでライブをしていた。毎日５時間くらい。

ターゲット策定から、必要なページ・機能の棚卸し・DB設計・実際の開発・バグ対応・GAタグ設定。そして、ProductHunt / 4Chan / Redditなど初期リリースまで。

それらは数百人に見守られながら進められ、リリース当日。サーバーダウンするほどアクセスが集まった。

８年前にこれをやってるのがすごいなと思う。ここで、”Build in Public"にどういう効能があるのか。私なりに少し整理してみようと思う。

Build in Publicの効能・効果（温泉みたい？）

1. モチベーション向上

私たちは、言った方がやる。そういう性質をもってるんじゃないか。公言すること・プロセスを公開することで、見られてる感が増して、行動を後押しする。

行動（Action）を後押しする。それが結構重要だと思う。Atomic Habitの中で、

Focus on taking action , not being in motion.

という言葉がある。

Motionはプランしたり、リサーチしたり、戦略を練ったりすること。Actionは実際に何かを行動を起こすこと。私たちは、Actionのつもりで、Motionしてる時がある。なぜなら、

We do motion because motion allows us to feel like we are making progress without running risk of failure.

Motion makes you feel like you are getting things done . But really , you are just preparing to get something done.

ドキッとした。

私たちがOutcomeを得たいなら。Actionしないとけいない。

頭の中で考えること。「こうしたらうまくいくかもな。うまくいきそう！わーい！！！」これは、（悲しいけれど）あんまり意味がないらしい。

実際に、Actionしよう。正確にいうと、失敗しよう。

そのために、プロセスを公開する。宣言する。Build in Publicする。それがActionの後押しになるみたい。

2. コミュニティからのフィードバック効果

Pieter Levelsは記事の中でこうやって書いている。

The fun part of building it in public was that with every point where I was stuck I had 100 people watching with me to help solve a problem.

確かに。個人開発はもちろん一人でやるわけだけど。よくつまづくことがある。一人で解決できるのは私たちの強みだけれど、問題を解決するために、誰かの力を借りたっていいんじゃないか。

迷って、悩んで、ぐわぁとなっている時、見ている人がアドバイスをくれることがある。「こっちの方がいいんじゃない？」「こういう風に考えることもできるんじゃない？」「私はこうやってるよ」それは、ある種の光のように見えるんじゃないか。

ネットワーク効果・コミュニティ効果。そういうものが、実際の利便性として”Build in Public”にはあると思う。

3. プロセスがプロダクトストーリーを作る

もしPieter Levelsが“Build in public”をしていなかったら、Hoodmapsはサーバーダウンしただろうか？したかもしれないが、確率は下がりそう。

個人開発は、個人で開発してる。もちろん、プロダクト単体の価値がなければ意味がないんだけど。どうせ個人で開発してるんだから、あらゆるプロセスをオープンにしてもいいじゃないか。

「こう思ってこの機能を作った」「この辺がいまいちだから改善しようとした」その全てが、私たちの頭の中にあるわけで。これって普通に面白い（と少なくとも私は思う）

綺麗なLPも良いけど、その後ろ側にある行ったり来たり、三歩進んで二歩下がり、少し方向を変えてまた足を踏み出す感じ。変な機能作っちゃったりとか。ちょっとだけ改善されたりとか。

企業のプロダクトではそんなクセは表に出ないわけで。それは個人開発特有の、味というか。「生産者の姿」になる。

つまり、個人開発は、プロセス自体がプロダクトであり、ストーリーと言えるのかも。そして私たちは「ストーリーがあるプロダクトが好き」なのだと思う。プロセスは、プロダクトをストーリー化させ、それを見守る人たちはまるで自分が作ったかのように、そのプロダクトを愛し始めるのかもしれない。

まとめると、”Build in Public”の効能は、

宣言することでモチベーションが維持され、アクションに繋がる
コミュニティからのフィードバックが具体的な問題を解決する
開示されたプロセスがプロダクトストーリーになり、ファンを作る

というのが私の理解です。

終わりに：でも、作るの怖いよね

最後に、デメリットについて考えてみる。

それは、「失敗が怖い」ということだと思う。プロセスを公開して、「全然おもんない」とか「間違ってるよ」とか言われる。または完全に無視される。

それが私たちは怖い。かなり怖い。

わかる。私も怖い。というか、おそらく全員怖い。

でも、少しステップバックして考えてみよう。私たちは個人開発をやっていて。つまりは打率は１０％くらいで。逆を言えば、「失敗しない個人開発なんてない」ということだと思う。

Naval Ravikantという人が言ってた言葉で好きなのが

Every winner has multiple failures.

全ての勝者は、複数回失敗している、ということ。個人開発の場合、Every solomaker has 10x failures.という感じだと思う。

もし、これが個人開発にトライする人の「普通」だとしたら。失敗するのは当たり前だよね。個人開発してるんだから。

そして、私たちが発信するPublicが「失敗は恥ずかしいことじゃないと思う人々」だと信じられたら、発信することの恐怖心が少しなくなるように思う。

だから、あなたも失敗してみよう。私も失敗してみます。

失敗して、「そりゃそうだろ。個人開発なんだから」と言い。三歩進んで二歩下がった人をみて「そりゃそうだろ。個人開発なんだから。学んでるなぁ」と言ってみる。（もちろん反省は大事だけど、私たちはどうせ学ぶ。だって、自分の意思でやってるから）

そうしたら、ちょっとは怖くないかもね。そして、その文化は私たち一人一人が作れるんだと思う。

言ってみよう。「これをやります」

やってみよう。「これやりました」

聞いてみよう。「どう思う？これ」

読んでいただきありがとうございました。普通に失敗してきましょう。

というわけで。Build in Public編でした。

Xこちら。フォローしてくれたら嬉しいけれど、大したことはつぶやきません。

▶︎補足１：日本人向けBuild in Publicページ

USのBuild in publicは実名じゃないと投稿できないので、日本人開発者向けBuild in Publicコミュニティ作ってみたよ。これも失敗するかもしれないが、やってみよう。個人開発だし。

▶︎補足２：いろんなリンク

US本家のBuild in public

PieterLevelの記事

AndroidクローズテストDiscordコミュニティ（Androidクローズテスト用だけど、活発なコミュニティなのでAndroidの方はぜひ）

YaaaさんXアカウント

2014年：Build in Publicの記事

AIツールAIAllyのBuild in Public実践例

”Build in Public”について語りたい

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